農業はもっとずっと楽しくなれる!三ヶ日みかんの産地でチャレンジを続ける陽だまりファーム

カテゴリー │浜松市の果物農家さん

浜松 ライター 菅原

言わずと知れたミカンの名産地、浜松市北区の三ヶ日町(みっかびちょう)。浜名湖に降り注ぐ太陽は、畑にも一面に降り注ぎ、みずみずしくて甘いミカンを育んでいます。

そんな三ヶ日で、東京ドーム約2個分(9ha)もの畑を担ってきたのが、株式会社陽だまりファームです。「ミカンの仕事は楽しくなくちゃ!」と、代表の高橋博之さんは満面の笑顔で登場してくれました。

ご近所のお母さんから高校生、ときには旅人まで!?たくさんの人が興味を持って農園の仕事に訪れるという、陽だまりファームの人気の秘訣を教えてもらいました。


ITのエンジニアから農家へ、企業として発展させることが農業の魅力を高めると信じて

浜松 ライター 菅原

ーー陽だまりファームは、高橋さんで2代目だそうですね。高橋さんは、昔から農業を志していましたか?

「今ではミカン農家の私ですが、もとは根っからの開発エンジニアなんです。東京の大学で電子工学を学び、そのまま都内で就職。半導体のICチップをつくる仕事をしていました。

実家に戻ったのは、28歳のときです。『たまたま父が農家なんだから、農業でもやってみるか』そんな軽い気持ちで農家を継ぎました」

ーーでは、農業経営に携わったのもその頃からなのですね。

「そうですね。28歳でエンジニアから農家に転身したので、経営も手探りでした。ただ、企業のように稼げる事業づくりと組織の運営をしたいとは思っていました。家族経営の農業では、限界が来ると思っていたからです。

果樹農家には珍しい正社員を常時雇用してみたり、加工品をつくってみたり。経営の先生やバイヤー(商品の買い付け担当者)の皆さんに話を聞きに行き、道を見出してきました。『こうしていけば良いかもしれない』という感覚を信じて進んできましたね」

ーーお父さまが始めたときに2.5haだったという生産面積は、今では9haまで拡大したそうです。広い畑には、約8000本ものミカンの木が植わっています。

「最近では、後継者不足で苦労する近隣の農家さんから、ぜひ畑を借りてほしいと相談がくるまでになりました。僕が現場に行かなくても生産が回るようになって、ジャムやジュースづくりといった新しいことに投資もしています」

浜松 ライター 菅原
▲陽だまりファームのミカン100%、人気の「みかんジュース」


「商品開発と同時に、クライアントが求めていることに対応することも大切になりました。2018年5月に法人化したことで企業としての対応も可能になり、信用力も高まってきたと感じます」

ーーアメリカや香港といった海外への輸出も手がけるなど「挑戦的すぎて、社員から怒られます(笑)」とのこと。事業の発展のため、高橋さんはチャレンジし続けることを大切にしています。

「後継者がいないのは、多くの農家さんにとっての現状かもしれません。だからこそ、早いうちに若い人に仕事を任せることが必要です。そのためにも稼げる農業でなければいけません。稼げることを知れば、若い人にもどんどん就農してもらえるようになります」


「つい、もうひとつ」と手が伸びてしまうミカンを目標とする高橋さんの想いとは?

浜松 ライター 菅原

ーーチャレンジを続ける高橋さん。ミカンづくりで大切にしているのは何でしょうか?

「食べた人が『もうひとつ』と食べてしまうようなミカンをつくる、これだけです。ずば抜けて糖度が高いとか、日本で一番の評価をもらうとか、そうしたミカンは目指していません。

それよりも、酸味と甘みのバランスが取れていて、ちょっとした懐かしさを感じるミカンが良いですね。おばあちゃんちで食べたような思い出があるような、食べ終えてすぐに次のミカンの皮を剥き始めているような。そんなミカンを思い描いています」

ーーむいた皮で形を作って遊んだり、干した皮をお風呂に入れたり。そういうことを通じて家族の会話が生まれる場面も昔はありましたね。

「最近は、ミカンが木に成ることを知らない子どもが増えていると聞きます。ビックリして、お母さんたちにまず知ってもらいたいと思いました。ミカンはどうやってできていくのか、私たち生産者はどんな想いでつくっているのかを。

野菜を買うので精いっぱいで、果物まで買うのが難しいこともあるかもしれません。生産コストを下げ、ミカンを手の届きやすい価格で販売することも大事だと考えています」

ーー「つい、もうひとつ」と、手が伸びてしまう陽だまりファームのミカン。今では売り込まずとも、バイヤーや大手の小売りチェーンから買いたいと連絡が来るようになったそうです。

「情報発信のお陰だと思います。ホームページやブログで、ことあるごとに作り手の想いを発信してきました。そうすることで、陽だまりファームのミカンは、値段では比較されにくい“特別なミカン”になっていけると思っています」


働きたくなる農園であることが、農業と産地の発展につながる

浜松 ライター 菅原

ーーどこか懐かしさを感じさせ、食卓に笑顔を咲かせるミカンをつくる高橋さん。その姿勢は、職場の環境づくりにも現れているようです。

「『今日も畑に来てよかったな』とか『来年もここで仕事したい』と思ってもらえるような農園でいたいですね。土日のできごとを早くみんなに話したいと、月曜日の出社が楽しみに思えるような。“逆サザエさん症候群”とでも言えるでしょうか(笑)?会社も仕事も楽しいものにしていきたいと思います」

ーー会社や仕事を楽しくするためには、どのようなことが大切でしょうか?

「経営者として大切にしているのは、社員がやりたいと言ったことを応援することです。費用やすぐに実施できるかどうかの経営的な判断はします。ただ、社員の悩みや困りごとはすぐに解決してあげたいし、やりたいことには挑戦してもらいたいと思っています。

それから、つねに目標を持ってもらうこと。仕事の中にも『成長する喜び』があると思っています。正社員でもパートでも目標を持ってもらい、結果が出るようにサポートするのが僕の役目です。個人面談も年に2回、必ず実施していますよ。

そして、給与体系も整備してきました。何年働くとボーナスがいくら出るとか、時給がどう上がっていくといったことを明確にしています。アルバイトの時給も、県境をともにする愛知県の基準に合わせて930円~(※)としました」

(※)2019年12月現在、静岡県の最低賃金は885円です。

ーーそうして制度を整えていく中、子育て中のお母さんたちも働きにくる農園になってきたそうです。

「仕事はしたいけれど働ける会社がないと言うお母さんたちは、たくさんいました。園児はお迎えに行かなければなりませんし、小学生でも3時頃には学校から帰宅します。8時から17時の勤務時間に合わせて働くことは難しかったんです。

そこで、出勤日と出勤時刻の変更はいつでも受け付けるようにしました。子どもが熱を出したら、いつでも家に帰ることができます。突発的な事情で、遅れて会社に来るのも問題ありません。今では、子どもを預けてでもここに来たいっていう人が働きに来てくれています。みなさん、一生懸命働いてくれますよ。大変ありがたいことです」

ーー雇用の受け入れについても柔軟に対応してきた高橋さん。その背景にあるのはどのような想いでしょうか?

「私としては、お母さんたちにぜひ働きに来てほしいと思っていました。子どもたちに農業の大切さを伝えたいと思ったとき、お母さんたちに農業の仕事を知ってもらうことが大事だからです。

陽だまりファームには、保育士や事務職、給食を作る仕事をしていた人など多種多様なスタッフが集まっています。これまで農業で“当たり前”とされてきたことを見直すと、もっとおもしろいことが見つかります。別の業界にいた人たちの視点も、もっと農業に取り入れていけたらと思います」

ーーチャレンジを続ける高橋さん。さいごに、今後の目標を教えてもらいました。

「これからは、産地を巻き込めるような農業の仕組みを作れたらと考えています。陽だまりファームだけが潤うのは違います。地域のミカン農家さんが元気になって、三ヶ日みかんの産地全体で発展していけたらと思うんです。同じ意識を持っている農家の仲間もいるので、一緒に面白いことをしていきたいねと話しています」
浜松 ライター 菅原

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陽だまりファームでは、FacebookとYouTubeを通じてアルバイト募集を行っています。スタッフの皆さんが投稿している仕事中の様子は、おもしろいと大好評!楽しいことが大好きな陽だまりファームの様子をぜひチェックしてみてください。

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★ミカンの木のオーナー制度!年間契約をはじめました

陽だまりファームの畑で育ったミカンの木が、1本丸ごとあなたのものに。日ごろの管理は、陽だまりファームにお任せください。ミカンがプックリ旬を迎えたら、お知らせいたします。ご契約の木からご自分の手で収穫できるほか、オーナーさまの元へ郵送も可能です。

①1区画(畑+ミカンの木1本) 20,000円/年(税別)
②1区画(畑のみ) 8,000円/年(税別)
③ミカンの木1本 8,000円/年(税別)


株式会社陽だまりファーム
所在地:静岡県浜松市北区三ヶ日町只木828
電話:090-3381-7393
FAX:053-525-2340
営業時間:7:30~16:30
定休日:土曜日・日曜日・祝日
ホームページ:https://www.hidamarifarm.biz/


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