2019年10月15日12:24

浜名湖の東北部にひろがる都田地区は、稲作やピオーネ(巨峰とマスカットの交配種である大粒のブドウ)などの生産で知られる自然豊かなエリアです。
実は、ジャガイモの生産で有名な三方原台地と隣接し、その赤土を有しているエリアでもあります。三方原の赤土は固く、アンデス原産であるトマトの栽培にも向いているのだとか。
そんな都田町でトマトの生産を手掛けているのは、まるたか農園の鈴木崇司さんです。市内でも早くからユニバーサル農業を取り入れたほか、最近では、新しい商品開発にも積極的な様子です。
鈴木さんにまるたか農園の取り組みについてお話を聞きました。
ご縁の力に導かれて、江戸時代からこの地で農業を営む

天竜浜名湖線が東西に走り、開けた土地が広がっているイメージのある都田町ですが、少し奥に車を進めると山林に囲まれていることに気付きます。まるたか農園は、古くからこの地に根差し、トマトとナシの生産を手がけてきたとのことです。
「僕で5代目になりますね。江戸時代の後期ごろ、地主さんの紹介で都田に移ってきたと聞いています。まるたかの屋号は、祖父が付けてくれました。僕の名前である崇司の『タカ』に記号の『マル』を付けた形です」
事務所へ来る途中に、大きなハウスが並んでいるのを見ました。農園全体で、どれくらいの規模があるのでしょうか?
「トマトの生産面積が100アール、ナシは60アールありますね。スタッフは社員が1人いるほか、12名のパートタイマーのみなさんが来てくれています」
大きな農園という印象ですが、そのような規模になってきたのは最近のことだと言います。
「両親の代まで家族経営だったんですよ。両親と祖母で、トマトとナシ以外にも、お米の栽培をしていました。僕が加われば経営も拡大できるだろうと思って、23歳のときに実家に戻って来たんですが、それから10年ほど経っても事業規模は変わりませんでした。そんな中、トマトの連作障害(※)が出てしまったり、祖母が亡くなってしまったりしました」
※連作障害とは
同じ畑で同じ種類(あるいは、同じ科)の野菜の栽培を続けること(連作)によって、土壌環境が変わり、害虫が増えたり野菜が育成不良に陥る現象。
「このままではいけないと、農業の経営を勉強する集まりに行ったんですよね。そこで、自分や家族だけで生産するのではなく、人の力を借りて生産するという考え方に触れました。ちょうど、空いている畑を貸したいという人にも出会いました。当時45アールだった生産面積の2倍以上ある55アールもある畑を貸していただけると言います。
それだけの広さの畑を借りるには、勇気がいりましたね。ただ、そのころの自分には、『農業をやり切った感覚』がありませんでした。卸先からミニトマトの出荷量を増やしてほしいという話も幸いして、思い切ってやってみようと思えました。
そこから、収穫などを作業委託できる先を紹介してもらい、従業員さんを増やしていったんです。それが今から8年ほど前になりますね」
農業をやろうと思ったきかっけはアトピー

▲まるたか農園ホームページより
順調に規模を拡大しているまるたか農園ですが、鈴木さんは昔から農業に携わろうと思っていたのではなかったそうです。
「特別に、農業をやろうと決めていた訳ではありませんでした。東京農業大学に進学し、農業経済学を専攻していたんですけれどね。どちらかと言えば、答えがはっきりと出るような生物学が好きでした。農業は、思った通りの答えを出すのが難しいんです。農学の知識をどんなに得ても、天候をはじめとするさまざまな要素が絡んできますから。大学を卒業して実家に戻ったのは、満員電車に乗ることにも嫌気が差していたから。そんな考えでしたね」
そんな鈴木さんが農業に携わろうと決断したきっかけは、学生時代に発症したアトピーだったと言います。
「ただ、東京で1人暮らしをしていたときに、アトピーになってしまったんです。コンビニチェーンでバイトをしていたので、お弁当ばかり食べていたことが原因だったのではないかと思います。病院に通っても治ることはありませんでした。
それが、実家に戻って母のつくる料理を食べるようになったら、自然と治っていったんですよ。食べるものの大切さを、そのときに初めて考えました。良い農作物をつくりたいーー。そんな思いから1年ほど青果市場で流通を学んだのち、家業の農業に携わることにしました」
そんな鈴木さんも4人のお子さんを持つお父さんです。
「中学1年生に小学校5年生、下の子は双子なんですよ。みんな元気な男の子で、食卓はいつもにぎやかですね。彼らのためにも、健康な野菜をつくろうと思っています。
そして、食卓や生活に笑顔や癒しを増やせる活動をしていきたいと思います。そんな僕の姿を見て、『農業って良いな、継ぎたいな』と、子どもに思ってもらえたら嬉しいですね」
経営者として、立つ。まるたか農園を自立した組織にする。

三方原台地からひろがる赤土は、トマトの生産に打ってつけだと言います。肥料分が少ない文、トマトが必要とする栄養素をそのときどきで配合して与えることができるからだそうです。ただ、鈴木さんがトマトの生産を手掛けている理由は、それだけではないようです。
「トマトは長く栽培できるので、雇用期間を長くできるという理由もあります。ナシについてもトマトの収量が落ちる夏の時期にちょうど収穫ができるので、収入が安定するんです。
やるからには、農園を企業のようにしたいと思ってきました。家族でやっていると、属人的になってしまうんですよね。僕自身の休日もしっかり決めていますよ。そういったメリハリは、経営において大切にしています」
経営規模を拡大したことで、経営者として考えるべきことも見えてきたそうです。そのうちのひとつが、販路拡大にもつながる新しい商品の開発でした。
「ここ3年ほど、いろいろと取り組んできましたね。実際に商品になったのが『ハピフルトマト』です。『食卓に笑顔を広げる』がコンセプトの、笑顔やハートなどのマークが押された世界初のデザイン・ミニトマトなんですよ」
マークは全部で3種類(2019年10月現在)。自然由来の製法で描かれているので、食べても安心だそうです。その製法・技術で特許を取得しているとのことでした。
「まだ取り扱い先は限られていますが、例えば、ハピフルトマトを2個入パックで売っている地元のスーパーさんがありますね。担当者さんに聞くと、おじいさん・おばあさんたちが、お孫さんにと買っていくそうです。県外のとあるスーパーさんでは、通常のミニトマトに1粒だけ“当たり”のハピフルトマトを入れて販売しています。ハピフルトマトに“当たった”お客さまからスーパーさんに、お礼のメールが届くこともあるんだそうです」
ハピフルトマトを開発して以来、卸先への営業にも変化が表れているそうです。
「まるたか農園にしかないミニトマトを持っていくことで、スーパーさんに話を聞いてもらえることが増えました。普通のミニトマトを持っていくだけでは、スーパーさんも取り合ってくれません。昔には、良いものをつくれば売れた時代がありました。でもそれは、今思えば、お客さま目線が足りなかったなと思います。
おいしいだけの野菜は、今後、だんだんと選ばれなくなっていくのではないでしょうか。そういう意味では、僕ら生産者も『野菜のメーカー』であるべきだと思います。お客さまの声をよく聞いて商品や農園をブランディングして、いろいろとできるようになりたいですね」

▲もうじき市販される多肉植物の商品。絵柄は、植物の成長とともに崩れていくものの、ものによっては1年以上もつとのこと。玄関や食卓に置いて、ちょっとした癒しを得てみてはいかがでしょうか?
まるたか農園
所在地:静岡県浜松市北区都田町1677-1
電話:053-428-2693
FAX:053-428-5473
ホームページ:http://www.marutakafarm.com/
ハピフルトマトのご購入は、こちらのページをご覧ください!
家族経営から企業経営へのシフトで新商品の開発も。まるたか農園の取り組み≫
カテゴリー │浜松市の野菜農家さん

浜名湖の東北部にひろがる都田地区は、稲作やピオーネ(巨峰とマスカットの交配種である大粒のブドウ)などの生産で知られる自然豊かなエリアです。
実は、ジャガイモの生産で有名な三方原台地と隣接し、その赤土を有しているエリアでもあります。三方原の赤土は固く、アンデス原産であるトマトの栽培にも向いているのだとか。
そんな都田町でトマトの生産を手掛けているのは、まるたか農園の鈴木崇司さんです。市内でも早くからユニバーサル農業を取り入れたほか、最近では、新しい商品開発にも積極的な様子です。
鈴木さんにまるたか農園の取り組みについてお話を聞きました。
ご縁の力に導かれて、江戸時代からこの地で農業を営む

天竜浜名湖線が東西に走り、開けた土地が広がっているイメージのある都田町ですが、少し奥に車を進めると山林に囲まれていることに気付きます。まるたか農園は、古くからこの地に根差し、トマトとナシの生産を手がけてきたとのことです。
「僕で5代目になりますね。江戸時代の後期ごろ、地主さんの紹介で都田に移ってきたと聞いています。まるたかの屋号は、祖父が付けてくれました。僕の名前である崇司の『タカ』に記号の『マル』を付けた形です」
事務所へ来る途中に、大きなハウスが並んでいるのを見ました。農園全体で、どれくらいの規模があるのでしょうか?
「トマトの生産面積が100アール、ナシは60アールありますね。スタッフは社員が1人いるほか、12名のパートタイマーのみなさんが来てくれています」
大きな農園という印象ですが、そのような規模になってきたのは最近のことだと言います。
「両親の代まで家族経営だったんですよ。両親と祖母で、トマトとナシ以外にも、お米の栽培をしていました。僕が加われば経営も拡大できるだろうと思って、23歳のときに実家に戻って来たんですが、それから10年ほど経っても事業規模は変わりませんでした。そんな中、トマトの連作障害(※)が出てしまったり、祖母が亡くなってしまったりしました」
※連作障害とは
同じ畑で同じ種類(あるいは、同じ科)の野菜の栽培を続けること(連作)によって、土壌環境が変わり、害虫が増えたり野菜が育成不良に陥る現象。
「このままではいけないと、農業の経営を勉強する集まりに行ったんですよね。そこで、自分や家族だけで生産するのではなく、人の力を借りて生産するという考え方に触れました。ちょうど、空いている畑を貸したいという人にも出会いました。当時45アールだった生産面積の2倍以上ある55アールもある畑を貸していただけると言います。
それだけの広さの畑を借りるには、勇気がいりましたね。ただ、そのころの自分には、『農業をやり切った感覚』がありませんでした。卸先からミニトマトの出荷量を増やしてほしいという話も幸いして、思い切ってやってみようと思えました。
そこから、収穫などを作業委託できる先を紹介してもらい、従業員さんを増やしていったんです。それが今から8年ほど前になりますね」
農業をやろうと思ったきかっけはアトピー

▲まるたか農園ホームページより
順調に規模を拡大しているまるたか農園ですが、鈴木さんは昔から農業に携わろうと思っていたのではなかったそうです。
「特別に、農業をやろうと決めていた訳ではありませんでした。東京農業大学に進学し、農業経済学を専攻していたんですけれどね。どちらかと言えば、答えがはっきりと出るような生物学が好きでした。農業は、思った通りの答えを出すのが難しいんです。農学の知識をどんなに得ても、天候をはじめとするさまざまな要素が絡んできますから。大学を卒業して実家に戻ったのは、満員電車に乗ることにも嫌気が差していたから。そんな考えでしたね」
そんな鈴木さんが農業に携わろうと決断したきっかけは、学生時代に発症したアトピーだったと言います。
「ただ、東京で1人暮らしをしていたときに、アトピーになってしまったんです。コンビニチェーンでバイトをしていたので、お弁当ばかり食べていたことが原因だったのではないかと思います。病院に通っても治ることはありませんでした。
それが、実家に戻って母のつくる料理を食べるようになったら、自然と治っていったんですよ。食べるものの大切さを、そのときに初めて考えました。良い農作物をつくりたいーー。そんな思いから1年ほど青果市場で流通を学んだのち、家業の農業に携わることにしました」
そんな鈴木さんも4人のお子さんを持つお父さんです。
「中学1年生に小学校5年生、下の子は双子なんですよ。みんな元気な男の子で、食卓はいつもにぎやかですね。彼らのためにも、健康な野菜をつくろうと思っています。
そして、食卓や生活に笑顔や癒しを増やせる活動をしていきたいと思います。そんな僕の姿を見て、『農業って良いな、継ぎたいな』と、子どもに思ってもらえたら嬉しいですね」
経営者として、立つ。まるたか農園を自立した組織にする。

三方原台地からひろがる赤土は、トマトの生産に打ってつけだと言います。肥料分が少ない文、トマトが必要とする栄養素をそのときどきで配合して与えることができるからだそうです。ただ、鈴木さんがトマトの生産を手掛けている理由は、それだけではないようです。
「トマトは長く栽培できるので、雇用期間を長くできるという理由もあります。ナシについてもトマトの収量が落ちる夏の時期にちょうど収穫ができるので、収入が安定するんです。
やるからには、農園を企業のようにしたいと思ってきました。家族でやっていると、属人的になってしまうんですよね。僕自身の休日もしっかり決めていますよ。そういったメリハリは、経営において大切にしています」
経営規模を拡大したことで、経営者として考えるべきことも見えてきたそうです。そのうちのひとつが、販路拡大にもつながる新しい商品の開発でした。
「ここ3年ほど、いろいろと取り組んできましたね。実際に商品になったのが『ハピフルトマト』です。『食卓に笑顔を広げる』がコンセプトの、笑顔やハートなどのマークが押された世界初のデザイン・ミニトマトなんですよ」
マークは全部で3種類(2019年10月現在)。自然由来の製法で描かれているので、食べても安心だそうです。その製法・技術で特許を取得しているとのことでした。
「まだ取り扱い先は限られていますが、例えば、ハピフルトマトを2個入パックで売っている地元のスーパーさんがありますね。担当者さんに聞くと、おじいさん・おばあさんたちが、お孫さんにと買っていくそうです。県外のとあるスーパーさんでは、通常のミニトマトに1粒だけ“当たり”のハピフルトマトを入れて販売しています。ハピフルトマトに“当たった”お客さまからスーパーさんに、お礼のメールが届くこともあるんだそうです」
ハピフルトマトを開発して以来、卸先への営業にも変化が表れているそうです。
「まるたか農園にしかないミニトマトを持っていくことで、スーパーさんに話を聞いてもらえることが増えました。普通のミニトマトを持っていくだけでは、スーパーさんも取り合ってくれません。昔には、良いものをつくれば売れた時代がありました。でもそれは、今思えば、お客さま目線が足りなかったなと思います。
おいしいだけの野菜は、今後、だんだんと選ばれなくなっていくのではないでしょうか。そういう意味では、僕ら生産者も『野菜のメーカー』であるべきだと思います。お客さまの声をよく聞いて商品や農園をブランディングして、いろいろとできるようになりたいですね」

▲もうじき市販される多肉植物の商品。絵柄は、植物の成長とともに崩れていくものの、ものによっては1年以上もつとのこと。玄関や食卓に置いて、ちょっとした癒しを得てみてはいかがでしょうか?
まるたか農園
所在地:静岡県浜松市北区都田町1677-1
電話:053-428-2693
FAX:053-428-5473
ホームページ:http://www.marutakafarm.com/
ハピフルトマトのご購入は、こちらのページをご覧ください!